ハス(蓮)の原産地はエジプトやインドであるといわれています。タイにはインドから伝わったものと考えられます。また、日本には中国を通じて伝わりました。インドからの仏教の伝来みたいですね。
ハスの花は、ヒンズー教と仏教では聖なるシンボルです。メーナム・シントゥ(メーナムは川で、メーナム・シントゥはタイ語でインダス川のことです)から日本にいたるアジアの広い地域にある古代の遺跡や神社・仏閣でハスの花のシンボルを見ることができます。さらに、ヒンズー教の神々や仏像、一般の美術工芸品にもハスの花が使われています。仏像の台座に“蓮華座(れんげざ)”というのがありますが,蓮華とはハスの花そのものです。
もちろんタイでもハスの花は仏教の聖なるシンボルです。ハスの花は善良さ、高潔さ、道徳的な行いを表わします。プラ・チェディ(パゴダ)にはハスの花のデザインが使われていますし、ワット(お寺)の壁画にも数多く描かれています。
タイの仏教では、お釈迦さまが説教するときにハスの成長の4つの過程を、4種類の人に例えたと教えています。
1. 水面から伸び上がったハスの花:お釈迦さまの教えをすぐ理解し、花が水面から伸び上がり満開に咲かせるように、教えを賢く実践できる人。
2. 水面に浮かんでいるハスの花:1の人と同じ素質を持っていますが、教えを理解して実践するまでにもう少し時間が必要な人。
3. まだ水面の下にあるハスの花:水面の上に浮かび上がるチャンスがある人。時間と困難が伴いますが、教えを理解し実践する可能性がまだ残っている人。
4. 湖底の泥の中にあるハスの花:全く望みがない人。教えが理解できない、または学ぼうとしなくて、永遠に“ユーナイ・トム”で魚の餌になるしかない人。“トム”は“泥”で“ユーナイ”は“〜の中”です。
写真にある、水面から成長して伸びたハスの花と、水面に浮かんだハスの花をご覧になって下さい。タイの仏教では教えを広めるためにうまい例えを用いるものです。人々に自分で生き方を選択させます。
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