この写真はタジキスタンの田舎の村で撮影したものです。今日の話題は可愛い子供たちではありません。またその後ろで泥をこねているおじさんでもありません。いちばん後ろに見える、道ばたに並べられている泥のブロックです。近くで撮影した写真を次ぎに示します。泥のプロックは、約20 cm 角の断面を持ち、長さは40 cm ぐらいです。手前のものは乾き始めていますが、奥のものは生乾きです。
何に使うかご存知でしょうか?このブロックは“日干しレンガ”、または“アドベ”と呼ばれ、家を建てる材料です。近くから採れる泥をこね、天日で乾かすだけで簡単に作れ、また積み上げるのにも熟練の技術が必要ないので、世界で広く用いられている建築材料です。特に、中央アジア、中近東、そして中南米などで、多くの家が日干しレンガを使って建てられています。
問題は、これらの地域は地震地帯と重なっていることです。日干しレンガの強度は弱く、また重量が重いので、地震があると家が一気につぶれてしまいます。2003年12月に起こったイランのバム地震を思い出してください。主に日干しレンガで造られた家が49,000棟も倒壊し、43,000人以上の人が死亡しました。バム市とその周辺の人口が約12万人でしたので、1/3の人が死亡したことになります。
タジキスタンでも近い将来地震が起こることが予測されており、バムと同様な被害が起こることが懸念されています。
7月16日に発生した新潟県中越沖地震でも、古い民家が数多く倒壊し、11名の死亡者のうち9人の方が倒壊した建物の下敷きになり死亡しました。全ての方が、70歳以上のお年寄りです。ご冥福をお祈りします。
日本でも海外でもお年寄りや子供を守るために、住宅の耐震化が急がれます。
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