話題321でタジキスタンの日干しレンガを紹介しました。日干しレンガ、またはアドベはペルーでもよく用いられている建築材料です。リマでは旧市街のセントロ地区、そして地方都市や田舎ではまだアドベ造りの住宅や建物を多く見かけます。また、教会は古い時代のものが多いので、アドベで建てられています。ピスコ市のサン・クレメンテ教会もアドベ造りでした(話題339)。
アドベ造りの家は地震に弱いことが知られています。2007年ピスコ地震で崩壊した住宅や建物にはアドベ造りのものが多くありました。中南米を始めとして中央アジアや中近東などでも、地震のときアドベ造りの建物の崩壊で多くの人が亡くなっています。例えば、2003年12月26日のイランのバム地震では43,000人以上の人が亡くなっています。この多くはアドベの家の倒壊によるものです。
バム地震で倒壊した家屋の数は約5万棟と言われています。ピスコ地震では約8万棟ですので、あまり差はありません。一方、バム地震ではピスコ地震に比べて80倍もの人が亡くなりました。この原因の一つに屋根の材料の違いがあります。イランのバムでは重いアドベの屋根です。ビスコの屋根は、軽い竹の梁に竹で編んだマットを組み合わせたものが多くあります(写真)。壁が倒壊しても、屋根に押しつぶされることはありません。バムでは多くの人が崩落した重い屋根に押しつぶされて死亡しました。
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