話題310のCDのジャケットをご覧下さい。チャブカの背後には、木の橋と、青色の窓を持つ家がデザインに使われています。この木の橋は“ため息の橋”と呼ばれ、実際にバランコ地区にあるものです。また、家はバランコ地区にある住宅の一軒です。
橋と窓にも意味があります。このためにはまずはバランコの説明が必要です。バランコ地区は海に沿った段丘の上にあるのですが、この段丘を刻んで小さい谷があり、ここは丘から海岸へと続く小径になっています。バランコは谷とか渓谷の意味するスペイン語です。橋はこのバランコに架かったもので、瀟洒な窓を持つ豪邸はこの谷を挟んで建てられていました。
さて、昔々、この豪邸の一つに住む娘さんが(たぶん美しかったでしょう)、道を清掃することが仕事の男に恋をしました。卑しい身分のため、娘の父親はこの掃除夫との結婚を許しませんでした。恋人を一目でも見られないかと、彼女はくる日もくる日も窓に寄りかかり、とうとう結婚せずに一生を終えてしまいました。この橋を渡る人は彼女の悲しげなため息を聞くことができたとのことです。
写真は“ため息の橋”とその脇に建てられた家を撮影したものです。壁の色は黄土色から紅がら色に変わっていますが、窓枠とかテラスの手すりを見ると、まさにCDのジャケットにある家です。今はレストランになっていまが、これが悲しいヒロインの家だったのでしょうか。
チャブカの物悲しい歌を聴きながら、このようなことに思いを馳せています。
- 完 -
コメント