カザフ人のほとんどは元来遊牧民族で、20世紀初頭までは人口のほとんどが遊牧生活を行っていました(写真1)。カザフ語による自称はカザクで、「独立不羈の者」、「放浪者」を意味し、もともとの部族集団から離脱して独立した集団を形成した遊牧民のことを指します。この絵は国立博物館に飾られていたもので、集団の移動の様子を描いたものです。女性が集団を率いているのが印象に残っています。
カザフ人の伝統的な移動式住居はユルトです(写真2)。やはり博物館に、馬の剥製とともに展示されていました。モンゴルではゲル、そして日本では、中国語の呼び名に由来するパオと呼ばれることもあります。写真1にも描かれているように、移動のたびに分解してラクダや馬の背に乗せて運ばれいます。分解や組み立ては共に遊牧を行う数家族の男たちが総出で行ったとのことです。
内部の写真3に示しますが、、屋根部分には中心から放射状に梁が渡され、壁の外周部分の骨格は木組みで、ジャバラ式に折り畳めるようになっています。これにヒツジの毛でつくったフェルト被せ、屋根・壁に相当する覆いとしています。内部の装飾は多分に博物館用にアレンジされており、生活のにおいは感じられません。
コメント